2:ミクロから見た和紙の特徴

 和紙に使われる材料は楮、三椏、雁皮、麻、竹、木綿等が多いが一般的には楮、三椏、雁皮の靭皮繊維が多く使われている。これらの材料を顕微鏡で観察すると楮、三椏、雁皮とも同様の所見を示している。

楮の生皮を薄切し alcian blue PAS 染色をした顕微鏡写真
 
  ←黒皮
  ←青皮
  ←白皮

上の写真は黒皮付の生の楮を薄切しalcian blue染色を行った写真で、標本作成による影響で黒皮は樹皮から剥離気味である。 黒皮の表面は写真に示す如く均一な黒色物質からなっておりその下は矩形状で内容の乏しい繊維層からなっている。
 黒皮の下には円筒状の被膜に包まれ alcian blue で青く染まる物質を容れたた繊維を認め繊維の周囲は黒く染まる繊維成分を多く認めこの部分を青皮と呼んでいるが繊維の太さは白皮に比べて細めである。
 青皮の下の部分は白皮と呼ばれる部分で青皮に比べて太い繊維からなっており被膜内は青皮と同様な alcian blue に染まる物質からなっており靭皮繊維と呼ばれており和紙に使用される部分であるが青皮に比べて靭皮繊維間の繊維成分に乏しい。

楮靭皮繊維のPAS染色(白皮部分)

 左の写真はPAS染色を行った白皮と呼ばれる部分で繊維1本1本の靭皮繊維は円形で密に配列しており厚めの膜に包まれ繊維内には竹の様な節目が認められ繊維の内容は比較的濃度の薄い PAS 陽性を示す均一な物質が充満している。所々で繊維内に凝集した物質が認められるがこれは標本作成時に出来た人工産物である。

 以上の様な構造が和紙の持つ特有の暖かさや光を通した時の独特な雰囲気を醸し出している様に思われ「麻」、「木綿」等は均一で密な1本の糸の様な構造を示しており上記の所見は認められない。


ミクロで観察した和紙の所見については近日出版の予定。


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